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遺言の作成を強く勧める場合:第4回 元外国人の方の相続

遺言の作成を強く勧める場合:第3回 離婚・再婚された方の相続)←前

次に遺言の作成を強く進めるのは、元外国人の方の場合です。

 

仮に、亡くなった方が日本国籍でないならば、そもそも、どこの国の法律が適用されるのかを判断しなければなりません。

例えば、中華人民共和国の国籍をお持ちの方であれば、死亡時の常居所地及び所有不動産の所在地がどこであるかによって、変わってきます。(常居所地及び所有不動産所在地がいずれも日本であれば、動産・不動産共に日本法適用になる。)

また、韓国籍の方の場合には常居所地や日本の不動産について、遺言によって日本法を適用するという旨の指定がなければ、韓国法が適用されます。

 

これに対して、かつて外国籍であったが、現在は帰化しており日本国籍を取得している方はどうなるでしょうか。

もちろん、日本人ですから、日本法(民法)が適用されます。

しかし、具体的な相続手続きをみてみると、出生時から日本国籍を有していた場合とは、異なる点があります。

 

(元外国人の方の相続の問題点)

一般に、遺言書を遺されなかった場合の相続手続きは、通常、①亡くなった方の相続人を特定し、②遺産分割協議等をし、③②の協議書に基づき各種財産の名義変更等をすることになります。(前述のとおり日本国籍でなければ、まず適用される国の法律の把握が必要です。)

この①~③の手順のうち、①については、亡くなった方の戸籍謄本を原則、出生~死亡時まで取得し、相続人を特定します。出生時から日本人であった方ならば、特に問題なくそれらの戸籍謄本を手に入れることができます(時たま戦災や災害で古い戸籍がない場合もあります)。

しかし、人生の途中で日本国籍を取得した場合には、帰化から死亡時までの戸籍しか存在しません。そのため、帰化以降の日本の戸籍謄本に加えて帰化前の国の書類を手配しなければなりません。例えば、元韓国現日本人の方であれば、帰化以降の日本の戸籍に加え、出生時から帰化までの昔の韓国の戸籍等を取得し翻訳するなどしなければなりません。

やはり、出生時から日本人であった場合と比較して、格段に労力や費用は余計に掛かってしまいます。

 

そこで、このような人生の途中で日本国籍を取得された方には、遺言書(特に公正証書遺言)の作成をお勧めします。メリットとして、以下の2点が挙げられます。

1、遺言書で漏れなく遺産を誰に相続させるか記しておけば、死後、相続人らがわざわざ帰化する前の国の書類を取得したり、翻訳をしたりする必要はありません。残された家族等は間違いなく大変楽です。

2、遺産分割協議をする必要がありません。そのため遺産分割協議で紛糾し家庭裁判所で話し合ったり、判断してもらわなければならない(いわゆる争続化の)リスクを可能な限り減らすことができます。さらに遺言書の中で遺言執行者まで定めておけば、原則として、遺言書通りに名義変更等をすればよいだけです。

このように、元外国人の方の相続の場合には、死後手続きの煩雑さを回避し、かつ争続化のリスクを減らすという意味で、遺言書(特に公正証書遺言)の作成がとても有効です。

このような事案について、大阪本町にて相談を希望される方(夜間相談や出張相談もOK)は、お気軽にメール・電話でお問い合わせくださいませ。

 

次→(会社設立登記において、印鑑証明書の氏名が英字(ピンイン)表記になっている場合

遺言の作成を強く勧める場合:第3回 離婚・再婚された方の相続

遺言の作成を強く勧める場合:第2回 子供がいない夫婦・子なし夫婦の相続)←前回

 

さて、遺言の作成を強く勧める場合として、次に取り上げるのは、「離婚・再婚された方の相続」についてです。

離婚・再婚された方が亡くなった場合、その相続人は、いったい誰になるのでしょうか。
図で示すと次の通りです(()内は法定相続分)。

 

[前夫(妻)との間に子がいない場合]

 

[前夫(妻)との間に子がいる場合]

 

このように、前夫(妻)との間に子がいる場合その親権をいずれが持とうが関係なく、前夫(妻)との間の子は相続人となります。

 

そして、前夫(妻)との間に子がいる場合で、遺言書がなくかつ、法定相続分通りで相続をしたくない場合、死亡時点の配偶者・その間の子 及び 前夫(妻)との間の子 で遺産分割協議をすることになります。

 

ではこの場合、どのような問題が想定できるでしょうか。

【遺産分割協議を行うために】
遺産分割協議を行うためには、法律上の相続人を特定しなければなりません。
その上で、実際に連絡をし、遺産をどのように分割するのか協議をしなければなりません。

死亡時点の配偶者・その間の子及び前夫(妻)との間の子が、連絡先を知っているような間柄ならば別ですが、疎遠であるか全く面識もないことも珍しくないと思います。
そうだとすると、連絡先を知ることも困難ですし、なんとか住所を突き止めても実際に連絡をつけて遺産分割協議をすることは簡単ではないことが容易に想像できます。

※他の相続人の連絡先を知る方法:戸籍を辿り戸籍附票から現在の住所を知ることはできます。相続が発生していれば他の相続人はもちろん取得できます。ただ、戸籍を読み慣れていないと取得は困難であると思います。ですから、この場合、専門家を活用する方がよいでしょう。

 

【前夫(妻)との間の子が自身の法定相続分を請求】
なんとか、戸籍ベースで相続人を特定し、連絡もし、遺産分割協議をすることができる状態になったとします。
では、すんなりまとまるでしょうか。もちろんその場合もあるとは思います。
しかし、上記の通り、前夫(妻)との間の子 も 死亡時点の配偶者との間の子 も等しく  であることには違いありませんので、同一の法定相続分が民法に定められています。
ということは、例えば、前夫(妻)との間の子が自身の法定相続分を遺産分割協議の中で請求することは当然あり得ます。
これは、親権が前夫(妻)側にあろうが、死亡前何十年と会っていなかろうが、変わりません。
このような場合に、その請求された法定相続分を満たすことのできる自宅以外の財産(預貯金、現金等)があれば良いのですが、めぼしい財産が自宅だけであるとすると、それを換価しなければならないこともあります。

 

【遺産分割調停・審判】
また、仮に遺産分割協議がまとまらなければ、家庭裁判所で協議や判断をしてもらうことになるかもしれません。
そうなれば、時間・費用共にそれなりに掛かることになるはずです。

 

しかし、遺言(特に公正証書遺言)があれば、

 

死後、遺産分割協議は、不要です。
よって、遺産分割協議で揉めることはありません。

さらに、前夫(妻)との子に法定相続分(上記の通り)を相続させたくない場合や反対にいくらか相続させたい場合には、それを遺言書に定めておくことができ、併せて遺言執行者を定めておけば、スムーズに死後遺言書通りの各種相続手続き(不動産の名義変更、預貯金の解約等)ができます。

この遺言執行者として専門家を定めておけば、例えば、前夫(妻)との間の子 と 死亡時点の配偶者・その間の子とが、連絡することなく死後、遺言書通りの各種相続手続きができます。
離婚・再婚された方の中には、心情的に連絡をさせたくないという方もいるかもしれません。

 

 

※公正証書遺言と自筆証書遺言の差異については、ホームページ内「相続・遺言作成について」の記載を参考にしてください。

※私は自筆証書遺言は、全くお勧めしません(揉める元であり、死後手続きがより煩雑になります)。

※前夫(妻)との子に全く遺産を相続させないとする遺言書を作成しても、その者からの遺留分の請求は考えられます。もっとも、遺留分相当額だけは相続させるという内容の遺言書を作成すればその恐れもなくなります。

 

このような事案について、大阪本町にて相談を希望される方(夜間相談や出張相談もOK)は、お気軽にメール・電話でお問い合わせくださいませ。

次回→(遺言の作成を強く勧める場合:第4回 元外国人の方の相続

遺言の作成を強く勧める場合:第2回 子供がいない夫婦・子なし夫婦の相続

遺言の作成を強く勧める場合:第1回 内縁関係・事実婚の相続)←前回

 

さて、遺言の作成を強く勧める場合として、次に取り上げるのは、「子供がいない夫婦・子なし夫婦の相続」についてです。

子のいない夫婦・子なし夫婦の一方が亡くなった場合、その相続人は、配偶者と直系尊属か、配偶者と兄弟姉妹になります。図で示すと次の通りです(カッコ内は法定相続分)。

 

≪配偶者と直系尊属≫

子がおらず、直系尊属が存命の場合

※法定相続分は、配偶者3分の2及び直系尊属全員で3分の1

 

 

 

 

≪配偶者と兄弟姉妹≫

子がおらず、直系尊属も既に死亡している場合

※法定相続分は、配偶者4分の3及び兄弟姉妹全員で4分の1

 

 

 

そして、これら子供がいない夫婦・子なし夫婦の相続の場合、遺言書がなくかつ、法定相続分通りで相続をしたくない場合、配偶者と直系尊属または、配偶者と兄弟姉妹で遺産分割協議をすることになります。
ではこの場合、どのような問題が想定できるでしょうか。

 

【遺産分割協議がまとまらない可能性】
協議がうまくまとまれば、よいのですが、配偶者と直系尊属や、配偶者と兄弟姉妹は、いわゆる血の繋がりがない間柄です。
遺産分割協議がまとまらないことも十分あり得ます。その場合解決するには、家庭裁判所での遺産分割調停或いは審判を経なければならず、仮に決着しても、親族の関係は険悪な状態が続くでしょう。

 

【配偶者以外の法定相続分をどうするか】
また、そこまで発展せずとも、直系尊属や兄弟姉妹がそれぞれの法定相続分を遺産分割協議の中で求めてくることも当然あるでしょう。その際に、亡くなった方名義の自宅以外に直系尊属や兄弟姉妹の法定相続分相当の預貯金があれば別ですが、めぼしい遺産が自宅だけということもあると思います。そうだとすると、自宅を換価し現金化するしか、直系尊属や兄弟姉妹の法定相続分を満たす方法がないということもあり得ます(生存配偶者の個人財産で直系尊属や兄弟姉妹の法定相続分を満たすとう方法もあります)。

 

【協議すらできないことも】
あるいは、そもそも疎遠で、連絡をすることが困難ということもあり得ます。まず遺産分割協議をする前提として、連絡をつけなければなりません。全く所在を知らない相続人がいる場合、調べることはかなり大変です。
(一般に戸籍・戸籍附票を辿っていくことで、現在の住所を調べることはできます。しかし、戸籍を読み慣れていなければ、大変な労力を掛けることになるでしょう。その場合、専門家を活用する方が総合的に考えよいでしょう。)

 

しかし、生前に遺言書(特に公正証書遺言)を作成しておけば、多くの場合、

遺産分割協議をする必要がなく、よって遺産分割協議により揉めることはありません。
遺産分割協議は、遺言書がなく、法定相続分での分割を望まないからこそするものだからです。

 

また、直系尊属や兄弟姉妹の法定相続分の請求についても、遺産分割協議をする場合に、主張され得るのであって、遺言があれば、遺産分割協議をする必要がないので法定相続分の請求もありません。せいぜい主張できるのは遺留分のみです。
ちなみに、兄弟姉妹には、民法上、遺留分はありません
よって、「すべての遺産を配偶者に相続させる」とする遺言書さえあれば、兄弟姉妹からの法定相続分の請求も遺留分の請求も、心配する必要はありません

 

さらに、法定相続人である直系尊属や兄弟姉妹の中に疎遠で連絡できない(或いはしたくない)人がいたとしても、公正証書遺言を作成する場合、遺言執行者を併せて定めることが一般的です。この遺言執行者として専門家を定めておけば、自らそのような人に連絡することなく、遺言書通りの各種相続手続き(不動産の名義変更、預貯金の解約等)がスムースにできます。

 

 

※公正証書遺言と自筆証書遺言の差異については、ホームページ内「相続・遺言作成について」の記載を参考にしてください。

※私は自筆証書遺言を、全くお勧めしません(揉める元であり、死後手続きがより煩雑になります)。

※配偶者と直系尊属が相続人になる場合、直系尊属には遺留分があり、それを請求される可能性はあります。もっとも、遺留分相当額だけは相続させるという内容の遺言書を作成すればその恐れもなくなります。

 

このような事案について、大阪本町にて相談を希望される方(夜間相談や出張相談もOK)は、お気軽にメール・電話でお問い合わせくださいませ。

 

次回→(遺言の作成を強く勧める場合:第3回 離婚・再婚された方の相続

遺言の作成を強く勧める場合:第1回 内縁関係・事実婚の相続

(遺言の作成を強く勧める場合:第0回 プロローグ)←前回

 

さて、遺言の作成を強く勧める場合として、最初に取り上げるのは、「内縁関係・事実婚の相続」についてです。

広く知られている通り、ある人が亡くなり相続が開始すると相続権を得る人(相続人)の順序や相続割合は民法に規定されています。

簡潔に述べれば相続人になるのは、

配偶者に加えて、次の者です。

①子がいれば: 子

②子がおらず直系尊属が存命なら: 直系尊属

③子がおらず直系尊属も先に死亡していれば: 兄弟姉妹
となります。

例えば、夫婦と子1人のご家族で、夫が死亡したならば相続人は、妻及び子となります。
また、夫婦に子がおらず、夫の両親も先に死亡している状況で、夫が死亡したならば相続人は、妻及び夫の兄弟姉妹となります。

 

このように、配偶者は常に相続人となりますので、仮に遺言書を遺さずとも、相続人として他の相続人と遺産分割協議をすることができます。もちろん、遺産分割協議がうまくまとまるかは、場合によるとは思いますが、少なくともその土俵には堂々と上がれます(もちろん遺留分もあります)。

しかし、ここでいう配偶者とは、法律上の夫婦ですから、内縁関係・事実婚の場合には、何十年連れ添ったとしても、互いに相手方死亡時に相続人にはなりえません。
(もっとも、死亡した配偶者の賃借権については、借地借家法で相続できる場合や判例において死亡した配偶者の賃借権を援用でき場合が示されています。・・・内縁・事実婚の配偶者の死亡により、途端に住むところを失うのはあまりに気の毒だから)(また、相続人となる人がいない場合には、特別縁故者という立場で遺産を貰うことができる場合もあります。)

ですから、もし、遺言を遺さずに内縁関係・事実婚の相続が開始してしまうと、その内縁・事実上の配偶者は遺産分割協議に参加することもできません。
例えば、子がおらず且つ直系尊属も先に死亡しているならば、上記③のとおり、亡くなった方の兄弟姉妹で遺産分割協議を行い、それに従い遺産を分割することになります。

 

しかし、遺言(特に公正証書遺言)で、誰にどの財産を相続(正確には遺贈)させるのかあらかじめで決めておけばこのような悲惨な事態を防ぐことができます。つまり、内縁・事実婚の配偶者に遺産を遺すことができるのです。
また公正証書遺言を作成する場合には、遺言執行者を併せて定めるでしょうから、死後の手続きもスムーズに進めることができます。
大切な人を失った直後にすることですから、できるだけ死後手続きを簡単に且つ確実にすることができるよう御膳立てしておくのは大変よいことでしょう。

もちろんこのことは、異性間、同性間で変わるものではないのでビアンカップルやゲイカップルの方々或いは、トランスジェンダーの方で性別の変更に至っておらず結婚ができない方とのカップルにも同じく有効です。

 

最後に、まとめると以下の通りになります。

「内縁関係・事実婚の相続」においては、その内縁・事実婚の配偶者は相続人にならないため、一切遺産を貰うことができない可能性が高い。

しかし、公正証書遺言を作成しておけば、確実に、内縁・事実婚の配偶者に遺産を遺すことができ、さらに遺言執行者を定めることで(法律上の配偶者でなくとも)死後の手続きを進めることができる。

さらに、この遺言執行者として専門家を定めておけば、自ら相続人に連絡することなく、遺言書通りの各種相続手続き(不動産の名義変更、預貯金の解約等)がスムースにできます

 

※公正証書遺言と自筆証書遺言の差異については、ホームページ内「相続・遺言作成について」の記載を参考にしてください。

※私は自筆証書遺言は、全くお勧めしません(揉める元であり、死後手続きがより煩雑になります)。

※相続人からの遺留分の請求だけはあり得ます。もっとも、遺留分相当額だけは相続させるという内容の遺言書を作成すればその恐れもなくなります。

 

このような事案について、大阪本町にて相談を希望される方(夜間相談や出張相談もOK)は、お気軽にメール・電話でお問い合わせくださいませ。

 

次回→(遺言の作成を強く勧める場合:第2回 子供がいない夫婦・子なし夫婦の相続

遺言の作成を強く勧める場合:第0回 プロローグ

(遺産分割協議(書)と相続登記(不動産の名義変更) 途中で相続人の一部が亡くなった場合編)←前回

 

将来、必ず訪れる相続に備えて、何らかの法的対策を講ずることは良いことと思います。
その対策として、遺言(特に、公正証書遺言)や家族信託或いは、生存贈与といったいくつかの手法があります。
これらの手法の中でも、公正証書遺言の作成は、最もメジャーで、かつ費用・労力対効果が優れていると思います。
(※家族信託や生存贈与も場面によっては、非常に有効なことがあります。)

とはいえ、「世の中のすべての人が公正証書遺言を作成するべきか?」と問われれば、そうではないかもしれません。ただ、いくつか特定の場合には、強く公正証書遺言の作成をお勧めします。

では、それはどのような場合なのか。
次回から司法書士香西が、強く公正証書遺言の作成をお勧めする場合と何故作成するべきなのかを解説していきたいと思います。

 

今回は、一般論として遺言、特に公正証書による遺言が何故、相続対策として有効なのかを簡単に確認します。

 

1、遺言を作成する方の遺産の分け方についての思いを遺言書に記せば、死後それを実現できます。※但し、遺留分を請求される可能性はあります。

・・・換言すれば、遺言がなければ、原則として相続人の協議によることになります。
この場合、元の財産の持ち主である亡くなった方の意思は関係ありません。

 

2、原則として、遺言があれば遺産分割協議をする必要がありません。

・・・遺言がなければ、原則として相続人の協議により遺産を分割することになりますが、前提として、相続人を戸籍ベースで特定できなければなりません。また、相続人全員が協議に参加できなければなりませんが、相続人同士の仲が悪いこと、疎遠であること、連絡がつかないことも考えられます。さらに協議をしたが場合によっては、紛糾し相続人間ではどうにも収拾がつかなくなり、家庭裁判所に行かねば解決できない事態にも発展するかもしれません。

 

3、公正証書遺言があれば、死後の手続きが非常にスムーズです。

・・・遺言がない場合、大まかに言えば、①戸籍の収拾による相続人の確定→②遺産分割協議→③協議書による各種手続き(不動産の名義の変更、預貯金口座の解約等)という流れになります。ただ、これは遺産分割協議がうまく成立した場合の話です。仮に、揉めることとなれば、先程述べた通り、可能性として家庭裁判所にいくことになるかもしれません。この場合には、1年以上の時間が掛かることも珍しくありません。もちろん親族の険悪な関係はそのままでしょう。
また、遺言者がご自身でお作りになった自筆証書遺言がある場合でも、実際に各種手続き(不動産の名義変更、預貯金口座の解約等)をしようとすると、①自筆証書遺言の家庭裁判所での検認手続き→場合によりますが②家裁での遺言執行者選任申立→③各種手続き(不動産の名義の変更、預貯金口座の解約等)という流れになります。
これに対し、公正証書遺言があれば、死後、速やかにその遺言書に基づき、各種手続き(不動産の名義変更、預貯金口座の解約等)が可能です(せいぜい数通の戸籍、住民票を取得するぐらいです)。

 

では、次回から司法書士香西が、強く公正証書遺言の作成をお勧めする場合と何故作成するべきなのかを解説します。

 

次回→(遺言の作成を強く勧める場合:第1回 内縁関係・事実婚の相続)

遺言書への株式の記載方法について

(①定款PDFファイルの名前について、②印鑑証明書と在留期間について、③解散登記から10年による閉鎖(商業登記規則81条第1項による登記記録閉鎖)からの復活について)←前

11月某日、ホームページをご覧になった方より、電話にて遺言書の作成についてご質問を受けました。

その内容は、「株式をいくらか有しているが、日頃取引をするため銘柄や株数について変動する。このような状態でも遺言書を書くことはできるか。」

(要するに、どのように株式を特定するか)という、ものでした。

私は、もちろん可能です。とお答えし、具体的記載方法について多少説明をし、一応納得してもらえたのではないかと思います。

 

そこで、今回は、株式が相続財産に含まれる場合の遺言書への記載の仕方について、場合ごとに例示しようと思います。
(そもそも、このサイトは相続遺言専門サイトですし笑)

まず、上場会社の場合ですと、①「遺言者名義の〇〇株式会社の普通株式」などのように会社名及び株式の種類等で特定するか、

②「〇〇証券〇〇支店における遺言者名義の株式」のように口座のある証券会社により特定することが考えられます。

他方で、非上場会社の場合であれば、①「遺言者名義の〇〇株式会社の普通株式」の記載の仕方による他ないと思います。

 

具体的記載例としては、次のとおりです。

①の場合

〇〇株式会社 普通株式 (〇〇株)

※( )は作成後変動がない場合記載してもよいです。

 

②の場合

口座開設者   〇〇証券株式会社(〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号)
加入者     甲野太郎
口座番号    〇〇〇
(銘柄      〇〇株式会社普通株式)
(銘柄コード番号 〇〇〇)
(数量      〇〇株)

※( )は作成後変動がない場合記載してもよいです。
預貯金口座も同様で、銀行名、支店、預金の種類及び口座番号を記載することは多いですが、遺言書作成後に変動することが予想される残額については、あまり記載しません。

 

なお、上場株式か非上場株式かによって、作成後亡くなり遺言を執行する際、その方法も大きく異なります。

 

次回は、氏の変更許可について、書きます。

 

→次(氏(姓)の変更許可(日本人が外国人配偶者の通称名に変更)について)