ブログ

会社設立登記において、印鑑証明書の氏名が英字(ピンイン)表記になっている場合

遺言の作成を強く勧める場合:第4回 元外国人の方の相続)←前

平成30年春頃、外国籍の方(中長期在留資格あり)を発起人兼代表取締役とする株式会社設立登記の依頼を受けました。

株式会社設立登記には、当然、原始定款の認証時及び設立登記申請時に、印鑑証明書(中長期以上の在留資格がなければ宣誓供述書(中国本土の場合は公証書という))が必要です。
この方は、前述の通り中長期以上の在留資格を有しているので、本邦で住民登録ができ、印鑑を登録すれば、印鑑証明書が発行されます。

ここまでは、昨今、特に大阪市内の中心部ではよくあることですが、お預かりした印鑑証明書を確認してみると、氏名が日本語ではなく、英字(ピンイン)で記載されていました(なお、通称の表記なし)。
そうすると、定款・各種設立登記添付書面の発起人氏名の記載や役員氏名の記載ひいては登記簿の役員氏名の記載をどうするのかという問題が出てきます。

早速、依頼者に英字(ピンイン)とそれに対応する漢字が併記された公的書面(ここではパスポートの写し)を頂き、またどのように登記簿に役員を表記したいかについて希望を伺いました。
依頼者の希望としては、漢字表記(もちろん必要に応じて日本語の漢字に引き直す)でした。
英字(ピンイン)の読み方をカタカナ表記で登記する余地もあるかと思ったため確認しました。

これを受け、定款及びその他設立添付書面につき、漢字表記にカッコ書きで英字(ピンイン)を併記し、当該印鑑証明書及びパスポートの写しをもって、定款の作成及び登記申請(なお、あくまで申請書に記載するのは漢字表記のみ、よって、登記簿に記載されるのは漢字表記のみ)できないかという相談票を公証役場及び法務局に流しました。
結論的には、公証役場も法務局も、それで問題ないとの回答でしたから、その後の手続きをそのまま進め、無事登記手続きは完了しました。

 

ところで、当初私は、何故ここは日本であるにも関わらず、日本語ではない字で表記された印鑑証明書が発行されうるのか個人的に違和感がありました。そこで、当該印鑑証明書を発行した区役所の住民登録担当者に、その点を伺いました。
すると、まず入管で外国人の登録がなされ、それが住民基本台帳に反映され、その情報が住民票や印鑑証明書に記載されるとのことでした。そして、入管での登録時に英字(ピンイン)でのみ登録がなされると、やはりそれがそのまま住民票や印鑑証明書に記載されるそうです。
ですから、もし、どうしても住民票や印鑑証明書に漢字表記を載せるとなると、入管での手続きからやり直す必要があるようです。
(なお、もし市役所などで通称名が登録できればそれで問題をクリアできる可能性はあるやもしれません。)
その意味で、今回の設立登記時の対応(印鑑証明書+漢字・英字(ピンイン)が併記されたパスポートの写しを添付)は、ある程度確実かつ簡便で良かった思います。

ただ、気掛かりなのは、今回はあくまで商業登記の話である点です。
つまり、登記申請の際に、必要な住民票や印鑑証明書の氏名表記が英字のみであるという問題は、商業登記だけの問題ではなく、不動産登記においても同様の問題が起こりうると思います。
そして、商業登記と不動産登記とでは、後者の方がより審査が厳格なのではないかと思います。
実際、今回の件の相談票に対する回答のため電話で法務局担当者と会話した際も、英字(ピンイン)とその漢字表記が記載された公的書面の写しがあれば、参考につけてもよいとのニュアンスでした。それがあれば法務局も安心して登記できるとのことでした。言い換えれば、必ずしも必要ではなく、発起人の決議書などで、役員が選任・選定されその記載として、漢字表記があれば、それを信頼して登記するとの回答だったのです。同音異字の可能性があるにも関わらずです。
仮に、不動産の買主が、中長期以上の在留者資格をお持ちで、日本で住民票が発行されるがその氏名の表記は英字(ピンイン)のみで通称もなく、登記簿に記載する買主の氏名表記を漢字で行いたいとすると、果たして、当該住民票及びパスポート等の写しだけで通るのでしょうか。
時間的余裕があれば、入管での手続きからやり直してもらうべきなのでしょうか。
ではもし、決済直前に依頼が来たらどうすのか。追完で対応か。

中国人の不動産業者様には、せめて決済の2週間前には、連絡を頂くよう伝えておくことが、結局最善かもしれません。
おそらく、不勉強な私が想像もしない問題点が他にもあるやもしれませんから笑。

 

このような事案について、大阪本町にて相談を希望される方(夜間相談や出張相談もOK)は、お気軽にメール・電話でお問い合わせくださいませ。

 

※注意:全ての公証役場及び法務局で同様の取り扱いがなされるかは分かりません。

追記:住民票については、氏名表記(英字)の場合において、カタカナでその読み方を備考として記載してもらうことが可能だそうです。そして、その備考欄のカタカナをもって登記できるようです。

※法務局に事前確認する方がいいでしょう。

 

次→(現在非居住者の中国人が、日本において居住者であったころに購入した不動産を売却する場合について