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遺言の作成を強く勧める場合:第0回 プロローグ

(遺産分割協議(書)と相続登記(不動産の名義変更) 途中で相続人の一部が亡くなった場合編)←前回

 

将来、必ず訪れる相続に備えて、何らかの法的対策を講ずることは良いことと思います。
その対策として、遺言(特に、公正証書遺言)や家族信託或いは、生存贈与といったいくつかの手法があります。
これらの手法の中でも、公正証書遺言の作成は、最もメジャーで、かつ費用・労力対効果が優れていると思います。
(※家族信託や生存贈与も場面によっては、非常に有効なことがあります。)

とはいえ、「世の中のすべての人が公正証書遺言を作成するべきか?」と問われれば、そうではないかもしれません。ただ、いくつか特定の場合には、強く公正証書遺言の作成をお勧めします。

では、それはどのような場合なのか。
次回から司法書士香西が、強く公正証書遺言の作成をお勧めする場合と何故作成するべきなのかを解説していきたいと思います。

 

今回は、一般論として遺言、特に公正証書による遺言が何故、相続対策として有効なのかを簡単に確認します。

 

1、遺言を作成する方の遺産の分け方についての思いを遺言書に記せば、死後それを実現できます。※但し、遺留分を請求される可能性はあります。

・・・換言すれば、遺言がなければ、原則として相続人の協議によることになります。
この場合、元の財産の持ち主である亡くなった方の意思は関係ありません。

 

2、原則として、遺言があれば遺産分割協議をする必要がありません。

・・・遺言がなければ、原則として相続人の協議により遺産を分割することになりますが、前提として、相続人を戸籍ベースで特定できなければなりません。また、相続人全員が協議に参加できなければなりませんが、相続人同士の仲が悪いこと、疎遠であること、連絡がつかないことも考えられます。さらに協議をしたが場合によっては、紛糾し相続人間ではどうにも収拾がつかなくなり、家庭裁判所に行かねば解決できない事態にも発展するかもしれません。

 

3、公正証書遺言があれば、死後の手続きが非常にスムーズです。

・・・遺言がない場合、大まかに言えば、①戸籍の収拾による相続人の確定→②遺産分割協議→③協議書による各種手続き(不動産の名義の変更、預貯金口座の解約等)という流れになります。ただ、これは遺産分割協議がうまく成立した場合の話です。仮に、揉めることとなれば、先程述べた通り、可能性として家庭裁判所にいくことになるかもしれません。この場合には、1年以上の時間が掛かることも珍しくありません。もちろん親族の険悪な関係はそのままでしょう。
また、遺言者がご自身でお作りになった自筆証書遺言がある場合でも、実際に各種手続き(不動産の名義変更、預貯金口座の解約等)をしようとすると、①自筆証書遺言の家庭裁判所での検認手続き→場合によりますが②家裁での遺言執行者選任申立→③各種手続き(不動産の名義の変更、預貯金口座の解約等)という流れになります。
これに対し、公正証書遺言があれば、死後、速やかにその遺言書に基づき、各種手続き(不動産の名義変更、預貯金口座の解約等)が可能です(せいぜい数通の戸籍、住民票を取得するぐらいです)。

 

では、次回から司法書士香西が、強く公正証書遺言の作成をお勧めする場合と何故作成するべきなのかを解説します。

 

次回→(遺言の作成を強く勧める場合:第1回 内縁関係・事実婚の相続)