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遺産分割協議(書)と相続登記(不動産の名義変更) 途中で相続人の一部が亡くなった場合編

(氏の変更許可(日本人が外国人配偶者の通称名に変更)について)←前回

 

昨年、秋ごろ、税理士の先生より遺産分割協議(書)について質問を頂きました。
どういう内容かというと、「知り合いのご家族において、まずお父様が亡くなり、その数カ月後にお母様が亡くなり、相続人が子供1人のみとなってしまった。この場合に、亡父名義の不動産については、一旦、お母様名義(単独名義)にしてから、子供の名義(単独名義)にすることはできないか」 というものでした。
趣旨としては、相続財産のうち価値の高い不動産については、相続税の配偶者特例(1億6000万円又は法定相続分まで、相続税非課税)を効かせたいがためのようです。

 

ということで、今回は【遺産分割協議(書)と相続登記(不動産の名義変更) 手続きの途中で相続人の一部が亡くなった場合編】について解説したいと思います。なお、相続人の一部が亡くなった時期ごとに、Q1~Q3の問題形式で解説します。

図示しますと次の通りです。

父の死亡     遺産分割協議成立  捺印完了

↓        ↓          ↓
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Q1       Q2         Q3
相続人の一部死亡  相続人の一部死亡    相続人の一部死亡

 

そもそも、ある人が亡くなりその人名義の不動産があれば、相続登記(不動産の名義変更手続き)をすることになります。
そして、遺言がなく法定相続分で不動産を引き継ぐのでなければ、基本的に相続人全員で、誰が引き継ぐか(一人でも複数人でもOK)について遺産分割協議をし、これに基づき遺産分割協議書を作成します。

この遺産分割協議書には、相続人全員が実印で捺印し、その印鑑証明書を1通ずつ用意しなければなりません。
(またこれらに加え、相続登記(不動産の名義変更手続き)をするには、法定相続人を確定させるための戸籍なども必要です。)
(印鑑証明書については、登記手続き上、厳密には登記申請人である相続人については不要とされています。)

 

では、
Q1、遺産分割協議を相続人全員でする前に、相続人の一部が亡くなった場合どうすればよいのでしょうか?
A1、この場合は、後に亡くなった人の相続人全員がその人に代わり遺産分割協議に参加して協議すればよいです(数次相続の遺産分割協議書作成)。

(具体例1)
先に亡くなった父名義の不動産について、父の相続人全員である、母、子1、子2が遺産分割協議をするべきところ、その協議前に母が亡くなった場合

この場合は、父の遺産(不動産)について、遺産分割協議をすることのできる地位を、母から母の相続人である子1、子2が引継いでいるので、子1と子2の二人の協議で、遺産分割協議をすることができます。
但し、その旨を遺産分割協議書に記載しておく必要があります。

(具体例2)
先に亡くなった父名義の不動産について、父の相続人全員である、母、子1、子2が遺産分割協議をするべきところ、その協議前に子2が亡くなった場合

 

この場合は、父の遺産(不動産)について、遺産分割協議をすることのできる地位を、子2から子2の相続人であるその妻、孫が引継いでいるので、子2の妻と孫の二人が子2の代わりに遺産分割協議に参加し協議をすることができます。
但し、その旨を遺産分割協議書に記載しておく必要があります。

 

Q2、遺産分割協議を相続人全員でしたが、遺産分割協議書を作成する前に、相続人の一部が亡くなった場合どうすればよいのでしょうか?
A2、相続人の一部が亡くなる前に相続人全員で遺産分割協議をしていたことについて、後に亡くなった人の相続人全員を含めその旨の証明書を作成すればよいです(遺産分割協議証明書の作成)。

(具体例1)
先に亡くなった父名義の不動産について、父の相続人全員である、母、子1、子2が遺産分割協議をしたのだが、その協議書作成前に母が亡くなった場合

この場合は、母の地位をその相続人である子1、子2が引継いでいるので、子1と子2の二人で証明書(実印+印鑑証明書)を作成すればよいです。

(具体例2)
先に亡くなった父名義の不動産について、父の相続人全員である、母、子1、子2が遺産分割協議をしたのだが、その協議書作成前に子2が亡くなった場合

この場合は、子2の地位をその相続人である妻、孫が引継いでいるので、子2の妻と孫の二人を含め、母、子1、子2の妻及び孫で証明書(実印+印鑑証明書)を作成すればよいです。

冒頭の、税理士の先生よりのご質問の件は、この(Q2)パターンです。
(父の相続人 兼 父の相続人である母の相続人)である子一人で、母が死亡する前に、「父名義の不動産につき母の単独名義とする」遺産分割協議が成立していた旨の遺産分割協議証明書を作成することになりました。

 

Q3、遺産分割協議を相続人全員でし、遺産分割協議書も作成し相続人全員で実印による捺印もしたのだが、印鑑証明書を取得する前に相続人の一部が亡くなった場合どうすればよいのでしょうか?
A3、遺産分割協議書が真正であることについて、後に亡くなった人の相続人全員を含め証明書を作成すればよいです(登記研究106号質疑応答、220号質疑応答)。

(具体例1)
先に亡くなった父名義の不動産について、父の相続人全員である、母、子1、子2が遺産分割協議をし遺産分割協議書を作成・実印により捺印したが、印鑑証明書を取得する前に母が亡くなった場合

この場合は、母の地位をその相続人である子1、子2が引継いでいるので、子1と子2の二人で遺産分割協議書が真正であることについて証明書(実印+印鑑証明書)を別途作成すればよいです。

(具体例2)
先に亡くなった父名義の不動産について、父の相続人全員である、母、子1、子2が遺産分割協議をし遺産分割協議書を作成・実印により捺印したが、印鑑証明書を取得する前に子2が亡くなった場合

この場合は、子2の地位をその相続人である妻、孫が引継いでいるので、子2の妻と孫の二人を含め、母、子1、子2の妻及び孫で遺産分割協議書が真正であることについて証明書(実印+印鑑証明書)を別途作成すればよいです。

 

 

 

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