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①定款PDFファイルの名前について、②印鑑証明書と在留期間について、③解散登記から10年による閉鎖(商業登記規則81条第1項による登記記録閉鎖)からの復活について

渉外取引②(非居住者による不動産取引(購入)に係る外為法上の届出と納税管理人の申告について))←前

今回は商業登記に関するお話を3つまとめて書きたいと思います。

 

①9月上旬、大阪市内を本店とする株式会社設立登記手続きを受任しました。
ごく普通の発起人=代取の株式会社でした。

株式会社設立登記の一過程として、定款を作成し、公証人に認証してもらう必要があります。
具体的には、司法書士が電子署名をした定款(PDFファイル)を、公証役場に送信し、嘱託人として司法書士が公証役場に必要書類等及び費用を持って出頭します。
そこで、認証後の定款ファイルをもらいます。

・・・電子定款作成・認証の場合

 

さて、この件でもいつも通り、PDFファイルを送信し公証役場に出頭しました。
ところが、公証役場に出頭し手続きが始まると、システム上エラーになり認証手続きができないと告げられてしまいました。
どういうことかというと、上記、公証役場に送信するPDFファイルのファイル名について、字数制限(記号についても一部制限あり)があるというのです。
即ち、半角英数字で31文字まで、全角文字のみの場合は15文字(全角は2文字扱い)まででないと、公証役場のシステム上エラーになってしまうそうです。
私は、仕方なく事務所に戻りファイル名を半角にして再送信し再度公証役場に行きました。
幸い、事務所と公証役場がそれほど遠くないので良かったです。

個人的には、商号が長い会社もあるわけですし、それをそのまま「株式会社〇〇定款」とファイル名にできない場合があるというのもどうかと思います。

 

②11月頃、大阪市内を本店とする株式会社設立登記手続きを受任しました。
発起人1人、代取2人の株式会社でしたが、依頼者の内1人は外国籍で、居住者から非居住者になる方でした。
どういうことかというと、とある在留資格により日本で住民登録されており、その期限が切れてしまう直前に印鑑証明書を取得され、期限が切れる前に本国に一旦帰国されました。
この段階で、その印鑑証明書により会社設立をしてほしいとの依頼があったのです。

確かに3ケ月以内発行のものではありますが、登記申請時には、在留期間がおそらく過ぎてしまう(依頼時点では期間内)ことになります。
すると、期間内の日付で作れる(期間内に受任、作成等ができるから)定款等の住所の記載はともかく、登記簿上の代表取締役の住所について、印鑑証明書記載の住所と同じ住所を登記することになりますが、
申請時には在留資格はなくなっており(=日本に住所はないことになる)、その代取の日本の住所につき不実の登記になるのではないか。
と考えました。

もちろん、登記を通うそうと思えば、通るとは思いますが、少し問題がありそうでしたので、在留期間が間もなく切れる方については、別途本国で印鑑証明書の代わりとなる宣誓供述書を作成してもらうことにしました。

 

③11月頃、知り合いの社長より、「昔やっていた親族の有限会社を活用(税金対策とか)したいのだが、知らぬ間に、登記簿(記録)が閉鎖されている。これを復活できるか」という旨の問い合わせがありました。
当初、てっきり、みなし解散か何かのはなしと思っていました。

しかし、登記記録を確認してみると、「商業登記規則81条第1項による登記記録閉鎖」とありました。
どうやら、解散登記から10年経過すると、職権閉鎖されうるようです。

条文によれば、「清算を結了していない旨の申出」をすれば81条3項により復活することができるようでしたが、
具体的にどのような書面(内容)がいるのか、その書面と同時に会社実印の届出もするべきか、添付書面(清算結了していないことが分かる資料的なもの 例えば会社名義の財産の存在を推認させるもの?)
が必要か否か確認がしたく、管轄法務局に問い合わせてみました。
幸いこれに関する資料があるとのことでしたので、後日、別の登記申請の折に、その資料の写しをもらいに行きました。

それによると、申出書の様式の規定はないものの、申出書が該当登記用紙に係る会社の代表者からの申出の意思が明確であれば足りることから、
①会社の商号及び本店並びに代表者の氏名及び住所
②代理人によって申出をするときは、その氏名及び住所
③まだ清算を結了していない旨
④年月日
⑤登記所の表示
の事項を記載し、会社代表者又は代理人が記名押印の方法で差し支えない。
そうです。

(参考)清算未了申出書 ※wordです。

また、会社実印の届出については、同時にしなければならないことはないが、その方がよいとのことでした。

 

ちなみに、そもそもの解散理由は、みなし解散とかではなく、社員総会の決議による解散でした。
といいますか、㈲はみなし解散なかったですね笑(整備法32条)

・・・ブログ更新の折にみなし解散について調べていて思い出しました。

いやでも、最低資本金額未達成(300万円)からのみなし解散はありえるのですよね、確か。

 

商業登記は難しいですね。

商業登記に精通されている先生を知っていますが、純粋にすごいと思います。

特に、会社法ができる前、商法時代の条文知識などはすごかったです。

 

さて次回は、氏の変更許可、遺言書の書き方(株式がある場合)または会社登記について書きたいと思います。

次→(遺言書への株式の記載方法について)

渉外取引②(非居住者による不動産取引(購入)に係る外為法上の届出と納税管理人の申告について)

渉外取引①(非居住者に住宅用家屋証明書による減税の適用はあるか又、添付書類は何か)←前

平成29年7月頃、大阪市内のマンションについて、非居住外国人(中長期以上の在留資格なし)を買主とする不動産取引に係る登記案件を受任しました。
買主の方は、本邦に住民登録はなく従って住民票は用意できません。
そのため、これに代わる書面として、買主の方の本国の管轄公証役場で宣誓供述書を作成してきてもらい、住所証明情報とすることになりました。

また、購入の目的は投資用またはセカンドハウス用(いずれか本人も決めかねている)であり、とにかく居住用ではありませんでした。

取引自体は、買主様が日本語がある程度理解できる方であることもあって、特に問題なく決済後登記申請まで至りました。

 

さて、非居住外国人が非居住用で日本の不動産を購入した場合には、その後どのような手続きが一般的な場合に比べて必要なのでしょうか。
(権利証やその注意書きの英訳、将来の売却時に代金の源泉徴収(所得税法161Ⅰ⑤、212Ⅰ、213Ⅰ②、復興財源確保法28Ⅰ)とか、保有したまま死亡した場合の渉外相続(中華人民共和国の場合:【日本法】法の適用に関する通則法36、41及び【中国法】渉外民事関係法律適用法31但書 ∴根拠法は日本法)とかは別にして)

以前にも触れましたが、①外為法上の届出(資本取引)と②納税管理人の申告です。

①については、一部例外(外為報告省令5条2項10号)を除き、取引から20日以内に日銀経由財務大臣あてに事後報告をしなければなりません。
(同じく会社設立時も事前届出・事後報告が必要なことがある点注意)

②については、非居住者が所有する不動産に課税される各種税金につき、それぞれ納税管理人申告書の提出が必要なようです。
即ち、(大阪市内の物件ですと)

a不動産取得税ならば府税ですから府税事務所、

b固都税ならば市税ですから市税事務所そして、

c個人で賃貸収益を得れば所得税(法人なら法人税)が課され国税なので税務署に申告書を提出します。

※大阪の場合、abは物件所在地がどこかに応じて管轄税事務所が細かく決まっているので注意
※cは納税管理人を選任した納税者本人の納税地(国税通則法117条2項の「納税管理人に係る国税の納税地」の意義)(所得税法15条、同法施行令54条)
(具体的内容は割愛!!「日本加除出版 渉外不動産取引に関する法律と税金 196頁以下参照」)
cについては、完全に税理士先生の範疇と思いますので素直にお力添えいただくのが正しいと思います。賃貸収入があるなら確定申告も必要かと思いますし。

 

というわけで、登記完了後速やかに、業者様と役割分担しながら必要な手続きをしました。

※①について外為法上の届出(資本取引)

 

そろそろ、上記の本の紹介をしたいのですが、まだ読み切った感がないので、やめておきます。
それぐらい濃い本です。

 

さて、次回は、遺産分割協議(協議後書面化前に2次相続発生)、氏の変更または商業登記に関する小ネタについて書きたいと思います。

次→①定款PDFファイルの名前について、②印鑑証明書と在留期間について、③解散登記から10年による閉鎖(商業登記規則81条第1項による登記記録閉鎖)からの復活について